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夜空が綺麗だった。
視界を占める広大な宇宙の色。
深く大らかで、そして冷たい黒色の中に、小さな星が瞬いていた。
『僕はここにいる』
そう言いたげに、星々は精一杯の光を放っていた。
それは同じだ。
私たち人間と同じだ。
懸命に生きて、命を貫いている。
だけれども、今、目の前にある夜天の空はあまりにも寂しい。
本当の宇宙とは、もっと多くの星が在ったのではないか?
都会の明かりに遮られた弱々しい星々は、どこにあるのか、この目で知ることは出来ない。
それも人間と同じなんだろう。
人間も、どんなに懸命に生きたところで、世界全体から比べればちっぽけな存在。
どんなに抗ったところで、世界のより大きな流れに飲み込まれ死んでいく。
そんな弱い存在。それこそが人間というものだ。
たった一つしかない命を与えられ藻掻いて消える。
それでも……。
どんなに抗いがたい運命だったとしても……。
生きたいと願う。
「六ノ二」
・第一章「六ノ二は集まらない」 1 2 3
・第二章「六ノ二は語らない」 1 2 3 4
・第三章「六ノ二は諦めない」 1 2 3 4
・第四章「六ノ二は眠らない」 1 2 3 4
・第五章「六ノ二は間違わない」 1 2 3 4
・第五章「六ノ二は終わらない」 1 2 3 4
・エピローグ